エレン・ヴァンディック
リサーチ・マネージャー
ACL断裂は、前方引き出しテスト、ラックマンテスト、ピボットシフトテストで確認できる。 しかし、2006年のBenjaminseらによるメタアナリシスで示されたように、これらの検査の診断特性は完全ではない。 前方引き出しは感度49%、特異度58%、ピボットシフトは感度32%、特異度98%、ラックマンは感度85%、特異度94%である。 このメタ分析から、臨床的にACL断裂が疑われる場合は、ラクマンを選択することになるだろう。 しかし、この検査は、特に肥満の人や、検査者が被験者の脚の周囲を十分に把握できない場合には、実施するのが難しい場合がある。 2014年、Lelliらはレバーサインテストについて述べており、これは貴重な選択肢であると思われた。 さらに最近の2つのメタアナリシスでは、この検査の妥当性については若干の疑問があると報告されている。 本研究では、これらのコメントを考慮し、急性期プライマリケアにおけるACL断裂に対するレバーサインテストの感度を明らかにしようとした。
被験者はフランスの36のスキーリゾートから集められた。 臨床的にACL断裂が疑われる急性膝関節損傷(7日未満)を呈し(ひび割れ、不安定性、胸水貯留の存在)、RXが正常であった患者を対象とした。 過去にACLの断裂があった場合(手術で治療したかどうかは問わない)、または初診時にRXで関連骨折が認められた場合は除外された。
258人の患者をまずレバーサインテストで、次にラックマンで分析した。 その結果は、臨床検査後に終了したMRIと比較され、MRIはゴールドスタンダードとみなされた。 結果を2×2分割表にまとめ、真陽性と偽陽性を算出した。 この情報をもとに、ACL断裂に対するレバーサインテストの陽性適中率(PPV)と感度を算出した。
レバーサインテストは以下のように実施できる:
合計で190人の女性と68人の男性が両検査を受けた。 MRIの結果、ACL断裂は219例(84.9%)であった。 160例でレバーサインテストが陽性(62.7%)であり、そのうち134例(83.8%)がMRIで確認された。Lachmanテストでは251例(98.4%)が陽性で、うち217例(85.1%)がMRIで確認された。 したがって、ACL断裂に対するラクマンテストとレバーサインテストの感度は、それぞれ99.1%と61.2%であった。 PPVは、Lachmanテストが86.5%、lever signテストが83.8%であった。
著者らは、真陰性が含まれなかったため、レバーサインテストの感度とPPVのみを算出した。 無傷の患者という形で真陰性を含めて初めて、特異度とNPVを決定することができる。
フランスのスキーリゾートという環境は、急性の膝関節損傷を呈する患者が多く、ACL断裂の発生率が他のプライマリ・ケアよりも高くなる可能性がある。 このことは、今回決定された感度やPPVの値に影響を与える可能性がある。 さらに、レバーサインテストは、ラクマンを補足する、あるいはラクマンが適切に実施できない場合や結果が不確実な場合にラクマンに取って代わる有用なテストであることが示された。
ACL断裂のレバーサインテストは、対象となる疾患が存在する可能性が高い集団でテストされた。 これがPPVの過大評価につながったのかもしれない。それについては、以下のブログ記事を参照されたい。
まとめると、ACLの断裂がもっと少ないと予想される環境で、このテストがどのように機能するかを調査するのは興味深い。 臨床で使用するには、尤度比の方がはるかに有益であるが、これは本研究の範囲外であった。 したがって、ここで示された結果を解釈するためには、レバーサインテストを実施する環境を念頭に置く必要がある。
レバーサインテストは、特に後者の実施が困難または不可能な場合に、ラクマン・テストとともに使用する補助的なテストとなる。 この研究は、ACL断裂の有病率が高いことを特徴とする環境で実施されたため、PPVが過大評価される可能性があることに留意されたい。2019年のAbrusscatoらのメタアナリシスでは、レバーサインテストの有望な値が示された:プールされた感度と特異度はそれぞれ0.77と0.90であり、負の尤度比は0.22、正の尤度比は6.60であった。 この感度の差は、急性期に行われたレバーサインテストによるもので、急性の腫れや不安などにより臨床検査が複雑になる可能性がある。
参考資料
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